珈琲の味
朝新聞を読みながら、妻がいれた珈琲を飲んだら、なんだか違和感があったので、「珈琲豆変わったの?」と聞くと、妻はキョトンとした顔で、「もう一年近く豆は変えていない」と言った。
はて?
それでは何が違うのだろうか。
「風邪でもひいて味覚がおかしくなっているんじゃないの?」
逆に変な心配をされる結果になってしまったが、特別具合が悪いわけでもない。
そうしたときというのは不思議なもので、折込チラシに近所にできた整体の診療所の案内チラシが入っていた。
“血液のドロドロをサラサラにします”
なんだかイオン治療器のようなもので、体質改善をというお試しクーポンまでついている。
「これ、行ってきたら?」
妻はニヤニヤしている。
妻も同じものを飲むが、とりたてて変わったことはないという。しかし、妻はいつもカフェオレみたいに牛乳をタップリ入れている。
「ちょっと、こっちも飲んでみてよ」
砂糖もミルクも入っていない僕のカップを渡すと、ひと口飲んで妻は「ハッ」として台所に行き、いつもと違う水を使ったことに気づいたようだった。
それは先日僕がハイキングに行った時に汲んできた山の湧き水だった。雑味のない澄んだ水は、珈琲の味さえ変えてしまう。
